事故物件を避ける物件探しの注意事項3点
令和3年10月8日、国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」が策定されました。
これにより事故物件の告知に関して変更があるので物件を探している人は要注意です。
事故物件に間違っても住みたくない人が注意すること
- 過去に事故が起きた物件で有るかどうか不動産屋に確認する
- 不動産屋が分からない場合は調査を依頼する
- 契約書や重要事項説明書に家主の告知書を付けてもらう
これらの確認をしっかりすることで万が一事故物件と知らずに入居した場合に裁判での証拠となり勝算が高くなります。
そして今回ガイドラインが策定されたことによって今まで告知されていたようなことも告知しないで済むようになっているのです。
宅地建物取引業者にとっては迷いなくてとても助かりますが、借主側から見れば疑問です。
基準が作られたことによって3年経てば告知しなくても良いばかりか
宅地建物取引業者である不動産屋は事実の確認は家主か管理会社に聴取するだけでOKなんです。
だから自ら聞かないと過去の事は分からないという事です。
不動産のポータルサイトに「告知事項あり」と記載されているのは
3年前までの事になります。
中には例外もあるので説明していきますね。
「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によって変わる心理的瑕疵の告知
事故物件に対する告知義務をめぐっては様々な解釈がされてきました。
不動産仲介業者が各自に解釈するので誰もはっきりしたことが分からなかったのです。
売買のおいては裁判での判例を参考に出来ましたが、裁判になる事例は売買に関することが多くて賃貸では余り参考にはなりませんでした。
私の住んでいる地域では「一度人が入ったら次は言わなくても良い」とまことしやかにいわれており、大体の不動産屋がそのようにしていたようです。
でもこれだと「住まないけどオーナーがお金を出して知り合いに借りてもらって」とかもっとひどいと「誰も住んでないのに住んでました」と言い張る業者なんかも出てくるわけです。
入居者がいた場合は伝えなくてOKだと、入居期間に制限はなく1カ月でも、6か月でも、2年でも一緒なんです。
もうお分かりだと思いますが・・・・
今までの事故物件の告知義務の制度的問題点
宅建業者は心理的瑕疵物件については相手方の判断に重要な影響を及ぼすことについて故意に事実を告げず、また、不実の事を告げることが禁じられています。
良心的な業者では自然死も含めて全てを告知しているケースもみられ、これらの調査や負担もかなりあったようです。
そしてこの心理的瑕疵物件の告知義務があやふやだったことにおいて単身高齢者への入居を敬遠する動きにもつながりました。
単身高齢者が孤独死した場合、直ぐに見つかっても事故物件扱いで部屋を探している人に告知しなければならなかった事です。
だってね高齢者は若ものより死亡する確率が高く、特に単身者だと発見がおくれてしまうケースが後を立たないわけです。
家主側からすれば、そんなリスクの多い入居者は拒否してもおかしくありません。

引用:内閣府高齢者の現状より東京都監察医務院が公表しているデータ「東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数」
コロナ禍で11年ぶりに自死の数も増加,
年間2万人を超えました。
高齢者の1人暮らしは、離婚や生涯未婚率の増加で700万人を超えました。高齢者全体の2割をこえた
2000年には303万人だったのが2019年には737万人に倍増しています。
事故物件と忌み嫌うだけでは、状況は悪化するばかり。
そして、ようやく宅地建物取引管轄の国土建設省が動き出して、今回の
ガイドライン策定で事故物件告知義務に関して変わった事
「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」は期限を数値化して大変分かりやすいものとなっています。
その基本にあることは
取引対象となる不動産において、過去に殺人や自殺、事故死その他原因が明らかでない死亡が発生している場合には、これを認識している媒介業者は、事案の発生時期、場所及び死因(不明である場合にはその旨)について、借主に対して告知を要するものとする。
という今までと変わらないことです。
詳細は賃貸と売買ではじゃ間違うのでこの記事では賃貸に絞って説明しますね。
賃貸に関して変わった点
宅地建物取引業者(不動産屋)が部屋を探している人に対して
- 事案発生から3年間は必ず伝えなければならない
- 自然死の場合は3年以内でも告知義務なし、ただし死亡から発見が遅れて特殊清掃やリフォームが必要になった場合は告知要
- 調査において貸主・管理業者から聴取した内容をそのまま告知
宅建業者に対して変わった点
- 借主や管理業者に聴取するよう依頼された場合以外は積極的に調査する必要はない。
- 借主から質問を受けた場合やその社会的影響の大きさから買主・借主において特別に把握しておくべきであると考えられる場合は調査を通じて判明した点について告知が必要。
- 回答がなかったり、不明との回答がなされた場合はその旨を告知すれば足りる物とする。
- 氏名年齢住所家族構成等について告知する必要はない
- 調査義務は告知書(物件状況等報告書)で聴取のみでよい。告知書にて媒介活動に伴う通常の情報収集として調査義務を果たしたものとする。
調査対象者には故意に告知しなかった場合には民事上の責任を問われる可能性がある旨を予め伝えることが望ましい。
媒介の場合は告知書に過去に生じた事案についての記載を求めインターネットサイトや過去の報道等に掲載されている事項について事実関係を売主や科管理業者に確認するよう依頼された場合を覗き宅地建物業者がこれらを積極的に調査する必要はない。
過去においてあやふやだった点が明確化されて宅建業者や家主としてはとても良いガイドラインだと感じました。
そして心理的瑕疵の明瞭化が最も評価出来る点ですよね。
次は明瞭化についてクローズアップしていきます。
また入居者にとっては一概に良いとも言えないかなと思います。
3年でいう必要がなくなるなんて・・・ちょっと短すぎん?
⇩過去の事故物件に関する記事はコチラ
『その部屋、事故物件じゃないですか?』すぐに解る事故物件の見分け方
事故物件と呼ばれる心理的瑕疵の明瞭化
広義で心理的瑕疵のある物件の事を一般的には事故物件と呼んでいます。
今まで事故物件扱いされてきた物の中には、心理的瑕疵の大きくない物も含まれていた為
今回のガイドラインではっきりと言語化されました。
賃貸における心理的瑕疵の対象不動産
居住用不動産のみを対象とする。
これに加え「ベランダ等の専用使用が可能な部分」「共用の玄関・エレベーター・廊下・階段のうち、買主・借主が日常生活において通常使用すると考えられる部分」も対象となる。
告知義務有る死因や事例
過去3年間以内は義務あり、居室・ベランダ等共用部分も対象
他殺、自殺、火災、事故死その他原因が明きらかでない死亡による場合
自然死でも死者が長期間ほうちされて特殊な清掃等が施された場合には告知対象
告知義務なしの死因や事例
自然死(老衰・病死)、家庭内事故(入浴中の転倒、階段や屋根、脚立などから転落、食中誤嚥などの不慮の事故
死亡時から日数がたたず発見された孤独死。
ガイドラインにて決まってないことーこれからの課題
- 人の死が生じた建物が取り壊された場合の土地取引の取扱い
- 搬送先の病院で死亡した場合の取扱い
- 転落により死亡した場合における 落下開始地点の取扱い
一般的に妥当と整理できるだけの裁判例等の蓄積がないものは、今後の事例の蓄積を踏まえて、適時にガイドラインへの更新を検討する。
まとめ
超高齢化社会に入る日本は離婚率の増加や核家族化で独居高齢者は増えるばかりです。
昔は大家族で人の死は身近なものでしたが今では仏壇すら家にない家庭も多く、死が忌み嫌われる怖いものになっているのも事実です。
出来れば事故のない世の中になれば良いとは思いますが、なかなかそうもいきません。
あなたの部屋探しで良い物件が見つかることを願います。