読者の疑問

いつ、だれに支払うの?
筆者は建築関連の仕事に20年程携わり、不動産会社で4年勤めました
宅地建物取引士で自らの引越も12回経験しています
経験を活かして読者の悩みにお答えしていきます
この記事では、住宅を購入する際にかかる費用についてご紹介します
購入時にかかる諸費用をまとめてみました
不動産購入時のかかる諸費用って何があるの?
土地、建売住宅、中古住宅、マンションなど購入するときにはなんらかの諸費用がかかってきます
住宅を購入するなんて一緒の内にそう何度もあることではないのでどのような費用が必要なのか不明な点が多いと思います
あらかじめどのような何のための費用が必要なのかが分かっていた方が安心して物件探しもできますね
いざ購入となってから「諸費用を考慮していなくて予算オーバーで泣く泣く購入辞退」なんてことにもなりかねません
支払先は大きく分けて4つになります
「不動産会社」「金融機関」「保険会社」「税金 国・市町村」
支払時期については
「売買契約時」「決済時」「入居後」
の3つに分けられます
決済のときに支払う諸費用が一番多く、それぞれかかる金額や条件は違いますが、予想以上にかかる場合もあります
それでは住宅購入にかかる諸費用はどういったものがあるのか見ていきましょう
不動産購入時にかかる諸費用一覧
住宅購入にかかる諸費用
契約時
- 印紙税(1~2万円)
- ローン事務手数料(数万~数十万円)
- ローン保証料(数十万円)
- 登録免許税(10万円超くらい)
- 登記手数料(地域により異なる)
- 火災保険料(数万~)
- 団体生命保険料(ローン利用時)
- 固定資産税(10~20万円ぐらいが多い)
- 都市計画税(数万円)
- 仲介手数料の半金
- 水道負担金
入居後
- 不動産取得税
新築の場合のみ追加で支払う諸費用
- 見積もり時の調査費用
- 建築確認申請費用
- 地鎮祭の費用
- 上棟式の費用
マンション(共同住宅)購入時の追加諸費用
修繕積立金・管理費清算金
- 修繕積立金の基金として支払うもの
- 管理費の滞納があれば精算を迫られる場合もあります
思ったよりたくさんの項目があったと思います
次にそれぞれの内容を見ていきましょう
各種費用の内容
諸費用として必要なもの
仲介手数料
支払先 仲介会社
売主と買主を不動産会社が仲介した場合、不動産会社に支払われるのが仲介手数料です
不動産会社は両者の間に立ち、条件の調整や契約事務を行います
仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法により以下のように定められています
取引額200万円以下の金額 取引額の5%以内
取引額200万円を超え400万円以下の金額 取引額の4%以内
取引額400万円を超える金額 取引額の3%以内
* 仲介手数料に関する詳細記事はこちら
住宅ローン手数料
支払先 金融機関
住宅ローンを利用する場合、利用する金融機関により定められた手数料が発生します
主な内訳は融資手数料、保証会社手数料、ローン保証料、斡旋手数料、団体信用保険などです
登記費用
支払先 司法書士等
登録免許税および司法書士等への報酬等
新築住宅を購入する場合は「所有権保存登記」、中古物件購入の場合は「所有権移転登記」が必要です
登記にかかる費用は、司法書士や土地家屋調査士に代行してもらうための依頼料と登録手続きの登録免許税です
登録免許税について下記に詳しく載せてあります
登記を自分で行った場合、依頼料は発生しません
手付金
支払先 売主
売買契約時に売買代金の5%~10%程度
買主の事情により契約をキャンセルする場合、手付金はキャンセル代とみなされ、買主に返金されません
残代金支払時に売買代金に充当されます
ココに注意
売主の事情により契約をキャンセルする場合、手付金の倍額が買主に返金されるルールがあります
人気がありそうな売り始めの住宅などは多めに手付金を入れて倍返しされないようにする事も購入時のテクニックのひとつです
火災保険料
支払先 保険会社または代理店
火災保険は火事だけでなく、洪水や雷、大雪といった自然災害や盗難などの人災にも備えることができる保険です
地震保険は単独では加入できず火災保険の加入が必須となります
住宅ローンを組んでご購入された住宅が災害による被害を受けた場合、住む家を失うだけでなく経済的にも深刻なダメージを受けてしまいます
さらに詳しく
失火責任法
これは過失によって火災を発生させた場合は、原則として民法上の損害賠償責任を負わないことを定めた法律です
簡単に言うと「我が国の建物は木造建築が多いため、火災危険が非常に大きく、火災を発生させてしまった時は、巨額賠償の負担が生じるため、焼いた者も焼かれた者も、弁償を請求する者も義務者もいないという国情により、隣近所を隣焼させてしまっても賠償する義務はなく被害を受けた人はそれぞれ自己責任とします」ということを定めた法律です
注意ポイント
更新時に保険料の支払忘れで失効しないように要注意です
団体生命保険料
金融機関でローンを組んで購入する場合には必ず入るようになります
購入者に不幸があってその先支払いが出来なくなった場合でも、残された家族や親類等の相続人は残金を支払うことなく保険会社が一括で残債を支払う仕組みです
万が一の時の担保という事で金融機関でもほぼ強制加入のように入ることになります
注意点としてこの保険はローン開始時にしか入れません
保険料もそれなりにまとまった金額が必要となり毎年払いの場合など、支払いを怠ると再加入できないのであらかじめ積み立て等で準備しておくとよいですね
水道加入負担金
支払先 水道局
多くは戸建て住宅の新築時水道利用申込の際に水道局に支払うお金です
自治体により負担金額が異なります
水道設備の整備・拡張・安定した水の供給を図るのに利用されます
建売の場合、水道加入負担金は物件の販売価格に含まれている場合が多いですが、まれに販売価格と別に徴収される場合もあります
中古住宅であれば水道加入金などは不要ですが、売主によっては新築時に支払ったのと同額の負担を請求してくるケースもありますので
しっかりと確認しましょう
家具、引越し費用
支払先 引越業者
引っ越しの相場は、時期や距離や荷物の多さによって変化します
相見積もりをすれば、より安い価格の引っ越し業者が見つかります
また、新居に引っ越す場合は一通りの家具も必要です
新居になくて困るものは照明とカーテン、寝具などですね
カーテン・電球・エアコン・寝具といった家具の費用も計算に入れておきましょう
(住宅)ローン費用
支払先 金融機関
費用の概算 金融機関の取扱手数料、保証料等が生じます
修繕積立金・管理費清算金(マンションの場合)
支払先 管理組合 売主
修繕積立金とは、建物の改修工事に使われるお金です
マンションの場合、改修工事のための費用は修繕積立金から支払われます
購入時だけでなく、住み続けている間は毎月支払わなければなりません
金額は長期修繕計画によって定められ、マンションの規模や設備や築年数によって変化します
戸建ての場合は修繕のたびに費用を自分で支払うので修繕積立金は不要です
費用の概算 月額負担金を日割り清算します
ココがポイント
中古マンションは前住人が支払った管理費や修繕積立金を新しい購入者へ引き継ぎます
売主がきちんと払っていてくれればよいのですが、万一未払いがあるとその分まで請求されることがあります購入前に確認しておきましょう
建築確認申請費用
支払先 検査機関
新築時に建築確認申請のために必要
確認申請を市町村にするか指定機関にするかで支払先が変わります
戸建新築の注文住宅の場合のみ
長期優良住宅申請費用等
税金(全員必須)
固定資産税等清算金
支払先 売主
費用の概算 年税額を引渡し日をもって日割清算
備考 4月1日または1月1日を起算日とします
次に不動産、住宅ご購入にかかる税金をチェックしましょう
印紙税
印紙税は不動産の売買契約書や住宅ローンの契約書や建築請負契約書を作成する際に、契約書1通ごとに課される税金のことです
契約書に記載された金額によって、以下のように印紙税は変動します
不動産売買契約書
建築請負契約書 1万円未満 非課税
1万円以上100万円以下 200円
100万円を超え200万円以下 400円
200万円を超え300万円以下 1,000円
300万円を超え500万円以下 2,000円
500万円を超え1千万円以下 10,000円
1千万円を超え5千万円以下 20,000円
5千万円を超え1億円以下 60,000円
1億円を超え5億円以下 100,000円
契約金額の記載のないもの 200円
印紙を貼り忘れてしまった場合、3倍に相当する過怠税が徴収されます
特例 売買・請負契約書について
1,000万円超5,000万円以下は1万円に軽減
5,000万円超1億円以下は3万円に軽減
申告・納税 印紙の貼付、消印による納付
登録免許税
登録免許税は登記の際に課される税金のことです
登録免許税は「税額=課税標準×税率」で決定されます
登記を受ける人が、登記の事務をつかさどる登記官署等の所在地で納付します
原則として現金納付とされていますが、税額が3万円以下の場合は印紙納付することができます
所有権保存0.4% …… 新築住宅0.15%に軽減
売買による所有権移転(2%) …… 中古住宅 0.3%(土地は1.5%)に軽減
抵当権設定0.4% …… 新築住宅0.1%に軽減、中古住宅0.1%に軽減
特例
申告・納税 納付または印紙税納付
不動産取得税
不動産取得税とは、地方税法に基づいて不動産の取得に対して課される税金で道府県税です
毎年課税する固定資産税と異なり、不動産を取得した時に一度だけ納める税金です
地方税であり、自治体から送付される納税通知書に記載された金額を納税します
手続きから2~3か月後に郵送で届きます
不動産取得税は「税額=取得した不動産の価格(課税標準額)×税率」で決定されます
不動産の価格は固定資産課税台帳に登録されている価格で、税率は原則4%ですが、土地・家屋については、軽減措置により令和3年3月31日まで3%に引き下げられています
申告・納税 取得してから一定期間内に申告
消費税
不動産売買において、土地は消費税が非課税であり、建物は消費税の課税対象です
土地1,500万円、建物1,000万円の住宅をご購入の場合は、建物代の1,000万円に消費税10%がかかり100万円の消費税を支払う必要あり
売主が個人の場合、消費税納入業者でないため消費税はかかりません
また土地に対しては全員に消費税はかかりません
諸費用も消費税の対象であり、仲介手数料、引っ越し・家具代、司法書士報酬などが課税されます
固定資産税
対象 不動産の所有
税率 1.4%(標準税率)
特例 新築住宅の軽減、住宅用地の軽減
申告・納税 年4回納期
ココがポイント
固定資産税は毎年1月1日の登記人へ課税されます
これは購入したからといって年度の途中で納付者の変更はできないので
購入時に一緒に売主へ支払います
不動産に、前所有者に対する抵当権などの先取特権がついていたり、差し押さえが登記されたりしていますと、その登記が解除されない限りは競売や公売などのリスクは常について回ることになります
過去の滞納分は前所有者が、今後の固定資産税は新所有者に納税義務があるのは言うまでもありません
都市計画税
対象 不動産の所有
税率 0.3%(制限税率)
特例 住宅用地の軽減
申告・納税 固定資産税と一括納付
税金(当てはまる項目のみ)
譲渡所得税(住民税)
対象 不動産の売却、不動産所得
税率 分離課税・総合課税
特例 居住用の特別控除と買い換え特例
申告・納税 確定申告
住宅譲渡損失の繰越控除
対象 一定の住宅の譲渡と買いかえ
税率 還付・減税ー当初1年間は損益通算し、それでも赤字が残る場合は、その後3年間繰越控除
特例
申告・納税 確定申告
住宅ローン控除
対象 住宅の取得や増改築・住宅とともに取得する土地のローン
税率 一般住宅の場合、10年間、住宅ローンの年末の借入残高×1%
特例
申告・納税 確定申告
贈与税
対象 不動産の贈与、資産の贈与など
税率 贈与税の累進税率による
特例 配偶者控除の特例、相続時精算課税の特例
申告・納税 翌年2月1日から3月15日までに申告
相続税
対象 不動産などの相続による取得
税率 (3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合に相続税の累進税率で課税
特例 配偶者に対する税額軽減、小規模宅地等の特例
申告・納税 被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に申告・納付。延納の特例あり
相続税についてとても分かりやすい情報相続税の申告要否判定コーナー(国税庁ホームページで公開)はこちら
まとめ
ここまで読んでくださった方は読み始める前に比べて知識が増えたはずです
大まかでもこのぐらいの諸費用が掛かると認識できていれば購入金額の上限もわかると思います
今回の記事にある諸費用以外にもいざ引越となったら引っ越し費用や家具家電などの購入費なども必要になってきます
大きな買い物なので出来るだけ安くお得に不動産を購入できればいいですね