読者の疑問

引越ししたいと思ってるのですが物件選びで迷ってます
木造アパートは騒音トラブルが多いのでしょうか?
木造のアパートには引っ越さない方がいいですか?
このような読者の疑問にお答えいたします
木造アパートに入居を考えていると『騒音トラブルが多いからやめた方がいいよ』なんて聞くことがありますが本当のところどうなんでしょうか?
木造アパートのメリット・デメリットとやめたほうがいい理由を解説します。
この記事を読むと木造アパートを選んでも大丈夫か否かが解るようになるので、迷っている人必読です!
筆者は建築関連で20年働いた後不動産会社で4年勤務
宅地建物取引士であり、自らの引越経験も12回あります
この経験を生かして執筆しています
部屋探しで木造アパートはやめたほうがいいか?
あなたが音に対して神経質ならば絶対に引っ越さない方が良いでしょう
その物件がとても気に入った場合は不動産屋で担当者にその物件のトラブルなど聞いてみましょう
もしその聞いた不動産屋が管理していなくても管理会社に聞いてもらいましょう
結構トラブルが多そうならば辞めた方がいいと思います
そしてアパート以外にもメゾネット住宅やテラスハウスなど一戸建て感覚で入居できる物件でも木造はたくさんあります
木造の賃貸住宅はたくさんあるので選択肢に入るか入らないかで物件選びが変わってきます
どんな人が選ばない方がいいのか見ていきましょう
木造住宅のメリット・デメリット
木造住宅を選ぶメリット・デメリットを知れば自分と照らし合わせてより理想の物件が選べると思います
総務省の調べでは近年の共同住宅において非木造の割合が4割を超えています
このレポートからわかるようにそれでも6割は木造なんです
参考 ≫ 総務省統計局統計データ
木造は鉄筋や鉄骨造に比べて低コストで建てることが出来るので特に地方の賃貸住宅の大家さんからは人気があります
逆に都会では土地が高いため、鉄筋や鉄骨造などの部屋数を多く作ることが出来る工法が人気です
しかし部屋を借りる側にとってはそんなの関係ないですよね
どんなメリット・デメリットがあるのか次に解説していきます
木造アパートのメリット
- 家賃が安い
- 通気性が良い
- 間取りに無駄がない
木造アパートの一番のメリットがこの家賃が安いところ
建築コストが鉄筋や鉄骨に比べて安いため家賃も比例して安くなっています
また高層階で必要なエレベーターなどの設備も不要なためコストカットが出来ます
最近の木造は断熱性を重視して作られて、窓サッシも気密性の良いものが有る為以前に比べると
劣ってますが、素材的にも通気性があります
木は呼吸するのでカビなども生えづらくなります
鉄筋や鉄骨造の住宅では間取りに関係なく柱や梁などの出っ張りがあってデッドスペースが生まれることがあります
例えば梁が有る為背の高い収納棚などが置けない場合があります
木造ではそれ程間取りには影響がないので使いやすいとも言えます
木造アパートのデメリット
- 防音性が低い
- 断熱性が低い
- 振動が伝わりやすい
- 火災時燃えやすい
- 耐震性が不安
やはり木造で一番トラブルが多いのが防音性の問題です
防音に気をかけた最新の物件でも生活音や耳をすませばなにやら話し声などが聞こえます
そして築10年以上前のものはそれが顕著になり、咳払いまで聞こえたりすることも有ります
メリットであがった通気性の良さは断熱性の低さにつながります
外気に左右されやすいという事です
しかし最近はエアコンも一部屋に1台ある時代なのでそれほど気にする項目ではなくなってきています
逆に言えば鉄筋コンクリート造りの物件は蓄熱するので夏場の夜でも室内の温度が下がりにくいという欠点もあります
近隣の洗濯機の振動や、階段や室内で飛び跳ねたりすると音以外にも振動が伝わります
音と一緒に伝わることで体感が大きくなり、ストレスを生みやすいと言えますね
木造でも耐火基準で燃えづらい物件も存在しますが、一概にいうと鉄筋より燃えやすいのは周知のところです
燃え始めると一気に火が広がりやすいというデメリットもあります
ただし木造は3階建て以下なので、避難するのは容易です
これは木造に限らず古い物件は注意が必要です
耐震基準が変わる前の1981年以前に作られた住宅は要注意です
木造について言えばシロアリ被害で柱がスカスカになっている場合などは耐震性能が著しく落ちます
さらに2006年以降に建てられた物件は巨大地震に備えた耐震基準が追加されているので地震に強くなっていると言えます
木造アパートの騒音トラブルの原因
賃貸不動産の管理をしているとちょくちょくあるのが近隣住戸への音に対するクレームです
そして圧倒的に木造住宅が多いのが特徴です
しかし築年数の古い物件ではRCや軽量鉄骨などでも音漏れが多く苦情もたくさんあります
- 隣の家の音が気になって壁を「ドンドン」つついたら喧嘩になった
- 直接ウルサイって言ったら余計にひどくなった
参考記事 ≫ 賃貸で発生したトラブルは何処に相談するの?費用支払いは誰?事例別まとめ
賃貸で音の問題で入居者からのクレームの種類
音に対する苦情にもいろいろな種類があります
- 話し声
- 夫婦喧嘩
- 赤ちゃん、子供の泣き声
- 掃除機の音
- 洗濯機の音
- テレビの音
- 足音
- 戸やドアの開け閉め
- 楽器の音
- 隣家の目覚まし時計
- 歌声
- 咳払い
- ため息が聞こえる
あげればきりがないぐらいあります
生活音に関しては常識の範囲であればお互い様でよその音が聞こえるという事は自分の出している音も聞こえているのです
又、赤ちゃんや子供の声などがウルサイと感じてしまうのなら最初から家族連れが多い物件を選ぶべきではありません
そしてその常識の範囲を超えて騒音がする場合、誰が聞いてもうるさいと感じる場合は早期に対策を取ってもらうようにしましょう
不動産勤務時の管理物件一例
古いマンション1棟を総リノベーションした物件
ペット可で賃貸募集をかけたところすぐに申し込みが殺到しました
当時まだペット可物件が少なかったことと、リノベーションで内部は全くの新築と変わらず、家賃も安い
となればそりゃ誰だっていいと思いますよね
でもサッシやドアは元のままで壁厚も薄く生活音がダダ漏れ、おまけにペット可物件なので人が部屋の前を通るたびに鳴くワンちゃんなどもいて、入居開始後すぐにあちこちの部屋から苦情が来ました
そこで一軒ずつお邪魔して音を聞いたりしていたら普通の生活音が反響して隣や上下のお部屋に聞こえることが分かりました
古い物件で通常より壁厚が薄いことに加えてコンクリートなので反響が起こっていたのが理由です
ふつうの生活音が大きく聞こえたリノベーションの失敗例だとも言えます
クレームを言わない人が我慢している場合も多々あるという事ですね

昔作られた物件をリフォームすると「畳、土壁⇒フローリング、合板」に変更することが多いので音が反響しやすくなります
騒音問題は管理会社でどのように対処するの?
クレームがあった場合管理会社は『騒音に対する注意書き』のポスティングや『掲示板にて注意喚起』をする等の初動になります
明らかにそのクレームが妥当と認められる場合には直接注意することが多いでしょう
ただ管理会社に苦情を言った場合でも改善するとは限りません
又改善しても、時間をおいて再発する場合もあります
騒音問題を解決するための方法は4つ
1 自分で苦情を直接本人に言う【やめたほうがいいです】
昨今の賃貸事情や人間関係の希薄さを考えると直接のクレームはお勧めできません
逆切れされて事件が起こってからでは洒落になりません
2 自分の気持ちを変える
音は人によって感じ方が違うと言いましたがこの人を変えることは可能です
付き合いのある家族の子供の声が気にならなかったり、いつも挨拶してくれる隣のおじいちゃんがこのところ病気がちで咳払いがしたら「ああ元気そうだな」なんて音がしているだけでほっとしたり、これは相手が変わったのではなくて自分の意識が変わった例と言えます
また他の部屋の音は仕方ないと思って安い家賃で納得している場合もありますが、引っ越したくてもすぐには引っ越せない場合は耳栓や、軽いBGMを流す、窓に厚手のカーテンをかけるなど工夫してみるとよいでしょう
気にならなくなるのが一番ですね
3 警察に連絡する
管理会社が対処してくれても夜中に騒がしかったりすることが頻繁に起きるようであれば警察に通報しましょう(※110番は緊急連絡の場合だけにして最寄りの交番へ連絡して下さい)
なかなか管理会社が動いてくれない時には騒音のしているときに交番に電話してかけつけてもらいましょう
騒音だと認められれば注意喚起を相場ですぐに本人にしてもらえます
ただ効き目があるのはほとんど初回だけです
もともと騒音出す人は他人への気遣いに欠けることが多いので他の方法を選ぶようなることが多いです
4 引っ越す
金銭的に余裕がない場合以外はノイローゼになりそうなほどなら引っ越した方が無難です
起きてしまったことにくよくよしていても改善せれないだけか精神状態も悪化するはずです
この経験も社会勉強の一環だと思って割り切って引越したほうが良い場合も多いです
ずいぶん高い勉強ですけどね
音に対する個人差
同じ部屋でも住む人によって騒音と感じるかただの生活音と感じるか人によって感じ方に差がある為、一概に音を出している方が悪いとは言い切れません
とても音に敏感であったり、神経質であったりする人は他の人よりも音に対してのクレームが多くなります
又、受験や仕事で集中しているときに隣人の大きな笑い声や騒ぎ声などが聞こえるとイライラ度も普段より高まります
人によって『騒音』と感じられる音の種類も大きさも違うのです
A子さんがウルサイと思っていてもB子さんはそれほどウルサイと感じてない、そこでトラブルが発生してきます
人は騒音に慣れる事があります
例えば引越で環境が変わっても一週間ぐらいで慣れてしまったりしますよね
筆者の経験でも飛行機の音、幹線道路沿いの車の音、渓谷の川の水音など、引っ越した当初はうるさくて2~3日は落ち着かなくてノイローゼになりそうでも一週間もすると不思議と音に慣れて、騒音だと感じていた音が全く聞こえなくなる状態を経験しています
人間って自分の耳障りな音を排除して聞こえなくすることが出来るんですよね
マスキング効果現象やカクテルパーティ現象などで人は環境に対応できる能力を持っています
やめたほうがいい木造アパートのまとめ
近年の木造住宅は防音性能が上がっているとも言えます
しかし築20年を超える木造物件の防音性は良いとは言えません
投資という観点で出来るだけ建築コストを抑えたことと、音に関しては賃貸だからしょうがないというあきらめもあり、余り防音対策がなされてなかったという実情があるようです
近年では実家がRC造りのマンションで音に対して敏感な人が増え、それに伴い音に対するクレームも増えています
家主や管理会社が対策している物件もあります
築年数の新しい物件は木造といえども一昔前に比べれば防音性能も格段と良くなっています
もしあなたが木造アパートに住むことを選ぶ場合は「音」に寛容になる必要があります
築年数の浅い物件で有れば神経質な人以外は音が大きなストレスにはならず暮らしていけます
しかし音に敏感であると自覚症状があるならば絶対に選ぶべきではないとおもいます
あなたにとって音の問題がどれほどのウエートを占めるのかよく考えてみましょう!